家の雨水排水を決めるとき、雨水桝や側溝があるかだけを見ても、敷地の水がどこへ移動する計画かは読み切れません。
先に確かめたいのは、集水面で受けた雨水が、受け口から管路・桝を経て、最終的に放流または浸透へ至るまでのつながりです。
同時に、落ち葉や土砂が詰まったときにどこから確認できるか、蓋やゴミ受けを誰が清掃するかまで決めておく必要があります。
浸透方式を選べるかどうかは、見た目や設備名ではなく、地盤の透水性、地下水位、崖・擁壁・盛土との関係で判断する事項です。
中庭固有の豪雨時挙動や越流破綻は別の論点になるため、一般的な敷地の雨水経路と維持管理の判断に絞ります。
- 集水面から放流・浸透先までを一続きの経路として読む方法
- 分流・合流と道路側溝への接続を自治体に確認する理由
- 浸透の可否を透水性や地下水位、崖・擁壁・盛土から判断する考え方
- 受け方を見え方・掃除性・詰まり時の確認可能性で選ぶ基準
雨水排水は経路で読む
設備の名称から考え始めると、「雨水桝を付けるか」「側溝を設けるか」という単品比較になりやすいものです。
ところが、受け口が整っていても、その先の管路や桝、最終的な行き先がつながっていなければ、敷地全体の排水計画は把握できません。
判断の起点は設備の有無ではなく、水がどこから来て、どこへ出るかという経路です。

集水から出口までつなぐ
雨水の経路は、集水面→受け口→管路→桝→放流または浸透の順で追うと整理しやすくなります。
集水面は雨を受ける範囲、受け口はその水を排水系統へ取り込む部分、管路と桝は次の行き先へつなぐ中間部です。
最後に雨水下水、道路側溝、敷地内浸透のどこへ至るのかを確認して、初めて経路が閉じます。
設計図を見るときは、桝の記号だけを探すのではなく、雨水が入る位置から最終地点まで指でたどってください。
途中で線が読めなくなる箇所があれば、そこが設計打合せで説明を求める場所です。
「この受け口の先はどの桝につながるのか」「その桝の先はどこへ出るのか」と順番に質問すると、曖昧さを残しにくくなります。
経路を一続きに読む利点は、通常時の流れだけでなく、詰まりが起きたときの確認順も見えてくることです。
開口部で止まりやすいのか、桝で落ち葉や土砂を受けるのか、清掃の入口がどこにあるのかを同じ図面上で整理できます。
ここは見落としやすい部分です。
完成後に見える蓋だけでなく、見えない先まで説明を受けてください。
同じ経路でも、読む目的は二つあります。
一つは雨水が出口まで移動する流れを確かめること、もう一つは詰まりが起きた場所へ点検者が到達できるかを確かめることです。
水の経路だけが成立していても、蓋を外せず、内部を見られず、堆積物を除去できなければ、維持管理の段階で困ります。
反対に、掃除しやすい受け口があっても、その先の放流・浸透先が不明なら、敷地全体の排水は評価できません。
図面上では、水の矢印と点検の入口を重ねて読み、両方が最後まで途切れないかを確かめます。
設計時の流れと完成後の管理を同じ経路に載せることが、単品比較から抜け出す方法です。
経路を読むときの確認順
雨水を受ける面と、そこから水を取り込む受け口を対応させます。
受け口から管路、桝、最終的な放流・浸透先まで線を切らずに追います。
蓋や清掃口から、どの範囲を目視・清掃できるかも重ねて確認してください。
桝だけで判断しない
「雨水桝があるから排水は大丈夫」という判断には、桝の先がどこへ続くかという情報が欠けています。
桝は経路の一部であり、最終的な出口そのものとは限りません。
放流先へつながるのか、敷地内で浸透させるのかによって、確認すべき条件は変わります。
図面に複数の桝がある場合も、数の多さを安心材料にせず、それぞれの前後関係を読んでください。
重要なのは、どの集水面から来た水を受け、次にどこへ送る桝なのかという役割です。
浸透桝なら、地盤が水を通せるか、基礎や擁壁、地下水位との関係に無理がないかを別途確かめます。
浸透能力を超える雨が入ったときの逃げ道も、桝の名称だけでは分かりません。
「桝の先はどこですか」という短い質問が、計画全体を確認する入口になります。
維持管理まで含めるなら、蓋を外せるか、内部を見られるか、溜まったゴミや泥を取り除けるかも確認対象です。
設備が地中に隠れるほど、引き渡し前の説明が判断材料になります。
見た目に表れる蓋の位置と、実際に点検できる範囲を混同しないでください。
桝を単品で評価せず、前後の経路と清掃責任を結び付けて読むことが基本です。
放流と浸透を単純な二者択一として見る必要もありません。
通常は浸透させながら、入り切らない雨水を別の放流経路へ逃がす計画なら、二つの行き先をそれぞれ追います。
図面上で通常時の経路しか示されていない場合は、浸透能力を超えたときの行き先を追加で確認してください。
「どこへ入るか」と「入り切らない水がどこへ出るか」は、別の質問です。
桝の前後を読むと、この二つを混同せずに確認できます。
放流先を先に確かめる
雨水下水、道路側溝、敷地内浸透のどれを使えるかによって、必要な設備と確認先は変わります。
方式を比べる前に、敷地の雨水をどこへ出せるのかを特定する順序が欠かせません。
では、自治体には何を確認すればよいのでしょうか。
自治体へ確認するときは、分流か合流かだけで終えず、対象地で使える放流先まで一続きで尋ねます。
雨水下水を使うのか、道路側溝への接続を検討するのか、敷地内浸透を求められるのかで、設計者が組む経路は変わるためです。
公開GISは敷地の条件を調べる入口になりますが、接続の可否や個別手続きまで読み取れない場合は担当窓口へ照会します。
得た回答は「地域の一般論」ではなく、「この敷地の計画条件」として設計者へ渡してください。
行政側の条件が不明なまま設備を選ぶと、受け口から先の出口を決められません。

排除方式を敷地で確認
下水道には、汚水と雨水を別々に流す分流式と、公共側で同じ管へ流す合流式があります。
分流式の地域では、宅内配管の段階から雨水と汚水を分ける計画です。
合流式であっても、敷地内で雨水と汚水を混ぜてよいという意味にはなりません。
敷地境界の最終桝までは別系統で配管するため、「合流式なら宅内も一系統」とは考えないでください。
着工前に自治体の窓口や公開GISを確認し、敷地の排除方式が分流か合流かを特定します。
公開情報だけで読み切れないときは、敷地を示して担当窓口へ確認する方法が確実です。
敷地が接するインフラや地域条件によって、使える放流先や確認事項は変わります。
住所だけで一般化せず、対象地ごとの回答として受け取る姿勢が必要です。
設計者には、確認した排除方式が宅内の雨水経路にどう反映されているかを説明してもらいます。
自治体の情報と設計図の線が一致しているかを見ることで、放流先の認識違いを減らせます。
ここで確定させるのは、設備の製品名ではありません。
雨水が敷地境界までどの系統で運ばれ、その先のどこへ接続するのかという前提です。
合流式の読み違いに注意
公共側が合流式でも、敷地内で雨水と汚水を途中から混ぜる計画にはしません。
最終桝までの系統を図面で分けて確認し、判断に迷う箇所は自治体と設計者へ照会してください。
接続可否は地域で変わる
道路側溝が敷地の前に見えていても、民地の雨水を自由に接続できるとは限りません。
側溝は道路の排水施設であり、接続には道路管理者の許可や条件が関わります。
インフラの整備状況などによって扱いが変わるため、目の前に側溝があることだけで接続可能と判断しないでください。
確認先は自治体の雨水・下水道担当窓口だけでなく、側溝を管理する道路管理者になる場合があります。
「放流先として使えるか」「許可や手続きが要るか」を分けて尋ねると、必要な確認が明確です。
接続できるという回答を得た後も、設計図のどの管路から、どの地点へ至る計画なのかを設計者に確かめます。
使える放流先が分からない段階で、側溝や桝の形だけを決めても、後から計画を組み直す可能性が残ります。
放流先の確認が先、受け方や桝の選定が後という順番を守ってください。
接続条件、手続き、費用、施工上の扱いは地域・敷地・契約によって変わります。
一律の説明で決めず、自治体、道路管理者、設計者、有資格施工者から対象地の条件として確認する事項です。
口頭の説明だけで認識がずれないよう、確認した窓口と回答内容を設計打合せで共有します。
その情報が、敷地内の雨水経路を確定する土台です。
確認先ごとの役割も分けておくと、質問が往復しにくくなります。
自治体には敷地の排除方式と使える放流先を、道路管理者には側溝接続の可否と条件を尋ねます。
設計者には、その回答を受けて敷地内の経路をどう組んだかを説明してもらってください。
施工者には、計画された受け口や桝をどこから点検・清掃できるかを確認します。
一つの窓口へ全判断を委ねるのではなく、行政条件、設計判断、施工後の管理をつないで整理する流れです。
◆Research Desk のワンポイント
「雨水桝は何個ですか」と聞く前に、「この敷地の雨水は最終的にどこへ出せますか」と確認すると、設備の数ではなく経路から話を始められます。
浸透は地盤条件で判断
敷地内浸透は、下水への負荷軽減や地下水涵養につながる方式ですが、どの敷地にも同じように採用できるものではありません。
地中へ水を入れる以上、土が水を通すことに加え、地下水位や周辺地形との関係が成立している必要があります。
設備を増やせば解決するという考え方から離れ、地盤の評価を先に置いてください。
浸透を検討できる地盤であっても、施設を置く場所は別の判断になります。
同じ敷地内でも、基礎・擁壁・崖・盛土・隣地・地下水位との位置関係を無視して配置することはできません。
透水性の確認は「浸透できるか」を見る段階、周辺条件の確認は「どこで浸透させるか」を見る段階です。
二つを分けて質問すると、試験結果だけで配置まで決まったように受け取る誤解を防げます。
地盤が水を通しにくい場合は、浸透へ固執せず、貯留や放流へ経路を切り替える判断になります。
方式の変更を失敗と捉えるのではなく、現地条件を測った結果として受け止めてください。

透水性を現地で測る
砂質や礫質の地盤は水を通しやすく、粘性土は浸透しにくいという性質があります。
ただ、土の見た目や周辺の印象だけで、対象地の浸透可否を決めることはできません。
浸透を検討する際は、土質や地下水位を含む敷地条件を資料・必要な調査で確認し、方式の可否と計画を決めます。横浜市の雨水浸透施設設置基準の説明も、土質・地下水位と建物・擁壁との関係を確認項目に挙げています。
カタログに示された施設の性能だけを見ても、設置先の地盤が受け入れられるかは判断できないためです。
設計打合せでは、「浸透にするなら現地の透水性を測るか」と質問してください。
試験結果から浸透が適さないと判断された場合は、貯留や放流を含む別の経路へ切り替えます。
読者側で「砂っぽいから浸透できる」「粘土に見えるから無理」と断定する必要はありません。
判断を担うのは、敷地条件を把握した設計者と、地域の排除条件を扱う自治体です。
地下水位も同時に確認します。
地表から見える土質だけでは、地中で水が滞留する位置や、周辺施設への影響を読み切れません。
透水性と地下水位を切り離さず、同じ地盤条件として説明を求めることが適切です。
浸透桝を付けるか否かという二択ではなく、地盤が受け入れられるかを測定結果で決める流れになります。
浸透を検討するときの四つの確認
透水性:現地で評価する地盤条件です。
地下水位:計画条件に含めているかを確かめます。
周辺地形:崖・擁壁・盛土との関係を設計者へ確認してください。
逃げ道:浸透しきれない雨水の行き先を明らかにしてください。
崖・擁壁・盛土を読む
浸透施設へ雨水を集中させる位置は、周辺地形と地盤への影響を確認する対象です。
急傾斜地や地すべりのおそれがある地域など、防災上の支障が想定される場所では、浸透を前提にしない判断があります。東京都雨水浸透指針も、そうした地域を浸透推進の対象から除いています。
対象地が該当し得るかを、設計者と自治体に確認してください。
建物基礎や擁壁に近い位置では、浸透水の影響を避ける離隔や位置が検討対象です。
隣地との関係も含め、浸透施設は基礎、擁壁、地下水位との位置関係を設計者に確認して計画します。
必要な離れ方は、敷地の高低差や地盤条件で変わるため、一般的な数値を当てはめず設計者に決めてもらいます。
「浸透桝を敷地の空いた場所へ置く」という決め方では、地中の条件が抜け落ちる。
空いて見える場所が、地盤上も安全な位置とは限りません。
浸透施設の位置を示されたら、基礎・擁壁・崖・盛土・隣地・地下水位との関係を一枚の図面で説明してもらってください。
もう一つの確認は、浸透能力を超えた雨水の行き先です。
地盤へ入り切らない水を排水設備へ逃がす経路が確保されているかを、通常の浸透経路とセットで確認します。東京都の指針でも、浸透能力を超える雨水は敷地内の排水設備へ排除できるようにする考え方が示されています。
浸透施設を増やすことより、入らなかった水がどこへ向かうかを明らかにする方が先です。
安全に関わる地盤判断を施主だけで行わず、設計者、自治体、有資格施工者へ対象地の条件として相談してください。
浸透は設備名では決まりません
地盤の透水性、地下水位、崖・擁壁・盛土との関係が成立して初めて、敷地内浸透を選択肢として検討できます。
施設の位置や離隔は敷地ごとの判断になるため、他の住宅の配置を転用しないでください。
受け方は維持管理で選ぶ
放流・浸透の行き先が決まった後は、屋外の雨水をどの形で受けるかを選びます。
大きく分けると、グレーチング付き側溝やスリット側溝のように線で受ける方法と、集水桝や雨水桝のように点で受ける方法です。
見た目だけでなく、掃除の入口と詰まりの見つけやすさを比較してください。
見え方を優先して開口を細くする場合は、内部を確認する別の入口が必要です。
掃除性を優先して開口や蓋を見せる場合は、その部材が舗装面の中でどう納まるかを意匠として整理します。
どちらも、見た目か機能かの二者択一ではありません。
外から見える部分と、清掃時に開く部分を最初から同じ計画に含めることが要点です。
受け方の比較は、完成写真の印象ではなく、蓋を外す場面と詰まりを探す場面まで想像して行ってください。

線と点で掃除性が変わる
グレーチング付きの排水ユニットには、タイル割りへ納め、ストレーナーを備える製品例があります。ダイケンの排水ユニット資料では、納まり図と清掃可能なストレーナー構造を確認できます。
この種の方式では、蓋やストレーナーを外して確認できるかが、個別製品の仕様と納まり図で見る対象です。
見える蓋を意匠上の要素として受け入れられるかと、手を入れて掃除しやすいかを同時に判断する方式です。
タイル割りや舗装の目地と合わせて納める場合は、表面の連続性だけでなく、蓋を外す動作が妨げられないかも確認してください。
完成時にフラットでも、清掃時に開けられなければ維持管理の入口は失われる。
スリット側溝は開口が細く、舗装面の中で目立ちにくく納める製品例があります。ランデスの小型スリット側溝資料では、細いスリットで導水する構造と清掃状況が示されています。
細い開口の見え方と、ゴミの入り方や清掃のしやすさは製品・設置条件で変わるため、性能を一般化せず個別仕様で確認してください。
反面、内部に堆積した土砂やゴミを外から見つけにくいため、清掃口や点検経路を別に確保できるかが判断基準です。
開口が目立たないことと、内部の状態を確認しやすいことは同じではありません。
点で受ける集水桝や雨水桝は、雨水を取り込む位置と蓋の位置が限定されます。
どの集水面から水が集まる計画なのか、蓋を外したときにどこまで清掃できるのかを確かめてください。
線か点かに絶対的な優劣はなく、敷地の経路と維持管理の方法に合う方を選びます。
意匠を優先するなら点検方法を補い、掃除性を優先するなら見える蓋や開口を計画に組み込む考え方です。

受け方を比べる三つの軸
見え方:開口や蓋が舗装面にどう現れるかという判断材料です。
掃除性:蓋やストレーナーを外し、手を入れられるかを確かめます。
確認可能性:内部の詰まりを外から見て、点検口へ到達できる構造を選んでください。
詰まり時の見え方を比べる
どの受け方でも、落ち葉、土砂、ゴミは開口部や排水口、桝に溜まります。
方式を決めるときは、正常時の外観より、詰まったときに状態を把握できるかを先に想像してください。
外から見える、蓋を外せる、溜まったものを取り除けるという三段階が、確認可能性の基本です。
グレーチングは、水を通しながら人や物の落下を防ぐ格子状の蓋として使われます。ダイクレの基礎解説で構造と役割を確認したうえで、蓋の意匠が表へ出ることを計画に含めます。
スリットは表面を連続させやすい反面、内部の堆積を見つけるための清掃口が欠かせません。
集水桝や雨水桝は蓋の位置が点検の入口になるため、周囲の仕上げや配置で開閉を妨げない計画にします。
設計段階では、「詰まりが疑われたら最初にどこを開けるか」と聞いてください。
その答えが図面上の蓋や点検口と一致していれば、維持管理の動線を読みやすくなります。
答えが「完成後に考える」状態なら、清掃責任と点検経路がまだ決まっていません。
定期的な泥上げやゴミ除去、蓋の損傷確認を行うには、対象部分へ無理なく近づけることが前提です。
清掃できる構造でも、誰が行うか不明なままでは維持管理は実行されません。
日常的に所有者が確認する範囲と、施工者へ相談する範囲を引き渡し前に分けておきます。
蓋の開閉や内部作業に安全上の不安がある場合は、無理に触れず設計者や有資格施工者へ相談してください。
詰まり時の確認可能性を優先すると、設備の見え方を抑える案でも、必要な清掃口を残す判断ができます。
ストレーナーを備えた構造でも、ゴミを受け止める場所ができるだけで、清掃が不要になるわけではありません。
取り外し方と清掃方法を施工説明書で確認し、実際の納まりでも手が届くかを施工者に見てもらいます。
スリットの細い開口も、落ち葉が入りにくいことと、内部へ土砂が溜まらないことを同じ意味にはできません。
見えにくい内部を確認する清掃口がどこにあるかを、完成前に把握してください。
蓋については、開閉できるかだけでなく、損傷がないかを定期的に見られる位置かも確認します。
清掃と点検を繰り返せる納まりであることが、長期の維持管理を支える条件です。
◆Research Desk のワンポイント
排水設備が目立たないことを求めるほど、「内部をどこから見るか」「誰が蓋を外すか」を同時に決めておく必要があります。
打合せで責任範囲を決める
雨水排水の設計打合せでは、方式名を選ぶ質問より、経路・確認先・点検方法・担当者を確定する質問が有効です。
完成後の所有者が掃除できる部分と、専門業者へ依頼する部分を分け、どこから先を誰が管理するかを整理します。

責任範囲は、「所有者が掃除する」「施工者へ相談する」という大きな分け方だけでは足りません。
開口部のゴミ除去、蓋やストレーナーの取り外し、桝内部の泥上げ、経路の確認を、誰がどこまで担うかに分けて尋ねます。
清掃方法を説明できる構造でも、担当者が決まっていなければ、実際の管理へつながりません。
逆に、所有者が管理すると決めても、蓋を安全に外せない納まりなら、施工者への依頼範囲を広げる必要があります。
引き渡し時には、最初に見る蓋、次に確認する桝、専門家へ連絡する条件を順番に説明してもらってください。
説明内容は、図面に示された位置とメーカー施工説明書の清掃方法が一致しているかを照合します。
維持管理責任は口頭の了解だけにせず、対象となる部位と確認方法を設計者・施工者と共有しておく考え方です。
地域や自治体、敷地、地盤、契約によって条件が変わる事項は、その場の一般論で結論を出さないでください。
最初の質問は、「この敷地の放流先は雨水下水、道路側溝、敷地内浸透のどれか」です。
続けて、接続の許可や手続きが必要か、自治体または道路管理者の確認が済んでいるかを尋ねます。
浸透を採用するなら、現地の透水性を測るか、地下水位を確認するか、崖・擁壁・盛土から安全に離せるかが次の論点です。
施設名だけで回答された場合は、地盤評価の根拠と配置判断を説明してもらってください。
経路については、「この桝の先はどこへ流れるか」と一つずつ追います。
掃除と点検については、「どの蓋を外すか」「内部をどこまで見られるか」「誰が泥やゴミを除去するか」を確認する流れです。
浸透能力を超える雨が入ったとき、水がどこへ逃げる想定かも外せません。
四つの質問は別々ではなく、一枚の経路図へ重ねると理解しやすくなります。
集水面と受け口、管路、桝、放流・浸透先を線でつなぎ、清掃口と管理担当をその横に記載してもらいます。
メーカーの施工説明書では、蓋やストレーナーを外して清掃できる構造か、点検口がどこにあるかを確かめてください。
設計者と施工者には、その製品の清掃方法が実際の納まりでも使えるかを確認します。
製品単体では蓋を外せても、周囲の仕上げによって開閉しにくくなれば、計画上の掃除性は下がります。
図面、製品説明、現場の納まりを別々に見ず、同じ点検動作として照合する姿勢が必要です。
費用や手続き、接続条件は地域・業者・契約で変わるため、対象地の見積もりと説明を個別に受けてください。
安全に関わる地盤・擁壁・接続・施工の判断は、設計者・自治体・道路管理者・有資格施工者へ委ねます。
読者が担うのは、専門判断を代行することではなく、判断に使った条件と維持管理の分担を確認することです。
確認結果は、自治体の条件、設計図の経路、施工説明書の清掃方法という三つの情報を照合して確定します。
三つの内容が一致しているかを、着工前に確かめてください。
設計打合せでそのまま使える質問
放流先:「敷地の放流先は何で、接続の許可や手続きは必要ですか」と尋ねます。
浸透条件:「透水性と地下水位を現地で確認し、崖・擁壁・盛土との関係を検討していますか」と確認してください。
維持管理:「桝の先はどこへ流れ、掃除と点検はどこから誰が行いますか」が確認事項です。
逃げ道:「浸透しきれない雨水は、どの経路へ逃がす計画ですか」と質問します。
家の雨水排水でよくある質問
雨水桝が設置されていれば、排水計画は十分ですか?
雨水桝は経路の一部なので、集水面から桝までだけでなく、桝の先が放流または浸透のどこへつながるかを確認します。
蓋を外して内部を見られるか、溜まった落ち葉や土砂を誰が取り除くかまで決まっていれば、維持管理の判断も可能です。
合流式なら敷地内で雨水と汚水を一緒にしてよいですか?
合流式でも、敷地内では雨水と汚水を混ぜず、敷地境界の最終桝まで別系統で配管します。
対象地が分流式か合流式かは、着工前に自治体窓口や公開GISで確認してください。
浸透桝を付けるかどうかは自分で決められますか?
浸透の可否は、現地の透水性、地下水位、崖・擁壁・盛土、自治体の条件を踏まえて設計者が判断する事項です。
見た目やカタログ情報だけで決めず、現地浸透試験を行うか、浸透しきれない水の逃げ道があるかも確認します。
側溝と雨水桝はどちらを選べばよいですか?
線で受ける側溝と点で受ける桝は、見え方、蓋の外しやすさ、内部の見つけやすさ、清掃口の取り方が異なります。
外観だけで優劣を決めず、詰まったときに外から確認でき、実際に掃除できる方式を選んでください。
道路側溝が家の前にあれば接続できますか?
道路側溝は道路の排水施設であり、民地からの接続可否や条件は道路管理者と自治体の判断によります。
敷地前に側溝があることだけを根拠にせず、対象地について許可や手続きの有無を個別に確認する事項です。
まとめ|経路と方式で決める
家の雨水排水は、雨水桝や側溝という単品から選ぶのではなく、集水面・受け口・管路・桝・放流/浸透先までを一続きで読むことから始まります。
最初に自治体窓口や公開GISで排除方式と使える放流先を確かめ、道路側溝へ接続する場合は道路管理者の許可や条件を確認してください。
分流式と合流式のどちらでも、敷地内では雨水と汚水を分けて最終桝まで運ぶ点は共通です。
敷地内浸透を検討するなら、透水性を現地で測り、地下水位、崖・擁壁・盛土、基礎や隣地との関係を設計者に評価してもらいます。
浸透しきれない雨水の逃げ道まで示されているかも、同じ経路図で確かめる項目です。
受け方は、線か点かという名称だけでなく、開口の見え方、蓋やストレーナーの外しやすさ、内部の詰まりを確認できるかで比べます。
目立ちにくい納まりを選ぶほど、清掃口と点検経路を意識して残してください。
最後に、「桝の先はどこか」「どこから掃除するか」「誰が管理するか」を図面と説明書へ落とし込みます。
経路・地盤・掃除性・責任範囲の四つがつながれば、方式名に振り回されず、敷地条件に合う雨水排水を判断できます。
中庭のように囲われた低い場所で、大雨時の水位や越流先まで確認したい場合は、中庭の大雨時に見る排水と越流の確認点をあわせて確認してください。
