modernova Research Desk です。
今の住まいに間接照明を後付けする費用は、コンセント式の簡易な置き方なら数千円台から、本格的に壁や天井を造作して隠蔽配線まで行うなら1箇所あたり10万〜30万円程度が一般的な目安になります。
差が大きい理由は、照明器具そのものよりも、既存の壁や天井を壊して、配線を隠して、クロスを張り直す工程に費用が乗るからです。
最初に器具代だけを見ると「意外と安い」と感じやすいものの、リフォームとして後付けする場合は別の費用構造です。
置き型や新規計画を含めた全体像は、間接照明の費用相場を置き型と造作で比較した記事でも整理しています。
特に分譲マンションや賃貸では、梁・柱・戸境壁などの躯体に穴を開けられない制約もあるため、できることとできないことを先に分けてください。
焦らなくて大丈夫です。
本格的に造り込む方法と、解体を避けて造作風に見せる方法を分けて考えるだけで、予算の見通しはかなり立てやすくなります。
この記事を読むことで理解を深められること
- 間接照明を後付けする場合の費用相場と内訳
- 本格リフォームで費用が上がる理由
- 賃貸や分譲マンションで選びやすい後付け方法
- 見積もりで確認すべき追加費用と法令リスク
後付け費用の正体
間接照明の後付け費用は、照明を買う費用だけでは決まりません。
既存住宅では、すでに完成している壁・天井・クロス・電源位置の中に、後から光源と配線を入れていくためです。
新築時なら最初から下地や配線ルートを計画できますが、住み始めた後のリフォームでは、既存部分を一度触る工程が発生します。

器具代だけでは決まらない
間接照明の後付けで最初に見落としやすいのが、器具代と工事総額の差です。
LEDテープライトやライン照明の本体だけなら、数千円から数万円で見つかるものもあります。
しかし、壁や天井に光源を隠す場合は、光源を置く場所、配線を通す場所、器具を固定する下地、仕上げを戻す範囲までセットで考える工程です。
たとえば、器具代が5万円程度でも、既存天井の一部解体、下地補強、電源分岐、クロス張替えが加われば、総額が20万円を超えるケースは珍しくありません。
ここが後付け費用の核心。
後付けの間接照明は「何を付けるか」より「どこまで既存部分を触るか」で費用が動きます。
安い器具を選んでも、配線を壁内に隠すために解体が必要なら、工事費は下がりにくくなります。
反対に、器具単価が少し高めでも、既存の天井や壁を壊さずに設置できる方式なら、総額は抑えやすいです。
見た目の完成度だけを追う前に、解体の有無を確認してください。
「器具が安いから工事も安いはず」と考えると、見積もりを見たときに大きなズレを感じやすくなります。
解体と復旧で総額が変わる
本格的な後付けリフォームでは、天井や壁の解体と復旧に5万〜11万5,000円程度を見ておく場面があります。

これは、既存の石膏ボードを開けて、照明器具を隠すための懐を確保し、必要に応じて下地を補強するための費用です。
照明器具をきれいに隠すには、見えない部分の寸法が必要です。
天井の中に余裕がない、壁裏に通線できない、固定できる下地が近くにないといった条件では、大工工事や復旧範囲が増えます。
下地補強だけでも5,000円〜1万5,000円程度が加わる場合があり、施工箇所が複数になるほど差が出ます。
さらに、既存クロスとの色差も費用に影響する要素です。
造作した部分だけを小さく補修しても、日焼けや経年変化で周囲と色が合わないことがあるため、壁一面または部屋単位で張り替える判断になりやすくなります。
クロス張替えの目安は5万〜10万円程度で、仕上げのきれいさを求めるほど省きにくい項目。
後付け費用は、光を足す作業よりも、触った壁や天井を違和感なく戻す作業で膨らむ構造です。
この構造を理解しておくと、見積もりの内訳を見たときに「なぜ照明なのにクロス費が大きいのか」が読み取りやすくなります。
新築より高くなりやすい
後付けの本格的な間接照明は、新築時に建築と一体で造る場合に比べて、1.5〜2倍程度の費用構造になりやすい傾向があります。
理由は単純で、新築では最初から下地、配線、仕上げを同時に組み込めるのに対し、後付けでは完成したものを一度ほどいてから入れ直すためです。
一般的な目安として、下地補強、既存壁の解体、隠蔽配線、周辺クロスの張替えを伴う後付けは、1箇所あたり10万〜30万円程度を見ると現実に近いです。
もちろん、施工箇所の構造、照明の長さ、電源の位置、仕上げの範囲によって上下します。
たとえば、リビングのテレビ面だけにライン状の間接光を入れる場合と、天井まわりに長いコーブ状の光を回す場合では、必要な造作量が別です。
ライン照明の部材費は、1m延長ごとに1万〜2万円程度の加算も想定しておきます。
長くなれば部材費だけでなく、放熱、電源容量、配線ルート、調光機器の置き場所も検討対象に入れてください。
調光や調色を入れる場合は、単純なオンオフよりコントローラーや配線の条件が増えるため、見積もりも厚くなります。
新築同等の見た目を後から求めるほど、既存住宅側の制約をほどく費用が乗る。
この見方を持っておくと、「10万円台で済む内容」と「30万円近く見た方がよい内容」の境目がつかみやすくなります。
もうひとつ見落としやすいのが、工事のために一時的に外すものの費用です。
既存の家具、カーテンレール、テレビ、エアコン、収納棚などが施工箇所に近い場合、移動や養生、再設置の手間も費用条件に入ります。
小さな照明工事に見えても、実際には作業スペースを確保しなければ壁や天井を安全に触れません。
特にリビングのテレビ面、寝室のベッド背面、造作収納まわりは、生活用品が密集しやすい場所です。
施工前の片付けを施主側で行えるなら、費用を抑えられる場合も少なくありません。
大型家具の移動や壁掛けテレビの脱着が必要なら、別途費用の対象になります。
見積もりの段階で「既存物の脱着は含むか」「養生はどの範囲まで含むか」を確認すると、あとからの追加を避けやすくなります。
後付けでは、照明を付ける場所だけでなく、そこへ職人が安全に入れるかも費用条件の一部です。
工事費が高く見えるときは、器具代だけでなく、施工環境を整える準備費が含まれているかを見てください。
金額の比較は、作業範囲の比較でもあることを意味します。
費用を読むときは、同じ「1箇所」でも中身が同じとは限らない点に注意が必要です。
たとえば、テレビ背面の1箇所と、天井際を長く回す1箇所では、使用するLEDの長さ、電源の位置、配線ルート、仕上げの復旧範囲が変わります。
見積書に「間接照明設置一式」と書かれていても、1mのラインなのか、3mなのか、5mなのかで材料と手間は大きく違います。
ラインが長くなると、単にLEDが増えるだけではありません。
まっすぐ見せるためのアルミチャンネル、光の粒を抑えるカバー、放熱のための部材、電源容量の確認も必要です。
調光を入れるなら、コントローラーの置き場所やスイッチとの関係も確認対象です。
最初の相談では、希望する場所を「リビングに1箇所」と曖昧に伝えるより、「テレビ背面に幅2m程度」「カーテン上に3m程度」のように長さと位置を伝える方が、費用のブレを小さくできます。
ざっくりした相場だけで判断せず、長さ、固定方法、電源位置、復旧範囲をセットで見てください。
本格後付けで見ておきたい費用帯
- 本格後付け造作:1箇所10万〜30万円程度。解体、下地補強、隠蔽配線、クロス復旧を伴う場合
- 解体・復旧:5万〜11万5,000円程度。壁や天井を開け、下地を作り直す場合
- クロス張替え:5万〜10万円程度。補修跡や既存クロスとの色差を避ける場合
- 配線の隠蔽・分岐:1万5,000〜3万5,000円程度。壁内や天井内に電源を通す場合
- 専用回路など:1万5,000〜4万円程度。容量不足や回路追加が必要な場合
◆Research Desk のワンポイント
最初の相談では「間接照明を付けたい」よりも、「壁や天井を壊してもよいのか」「クロスをどこまで張り替える前提か」を先に言語化すると、見積もりの精度が上がります。
造作風で費用を抑える
後付けでも、すべてを本格造作にする必要はありません。
費用を抑えたい場合は、壁や天井を大きく解体せず、光源を隠せる既製部材や家具まわりを使って「造作風」に整える選択肢があります。
見た目の完成度とコストのバランスを取りたい人には、この分岐がかなり有効に働きます。
光を置く位置で迷う場合は、配置の基本も先に確認してください。間接照明の配置を確認する。
幕板一体型を使う
造作風に見せる後付け方法では、幕板一体型の照明が候補になります。

幕板とは、光源を直接見せないための遮光板のような部材です。
既製の幕板一体型照明なら、LEDユニットと見切り材が一体になっているため、大工が木工事で箱を作る工程の削減につながります。
費用の目安は2万〜6万円程度で、天井や壁の隅に取り付けて結線するだけで済む条件なら、造作を組むよりかなり軽い条件です。
もちろん、電源直結や壁内配線を伴う場合は有資格者の施工範囲に入ります。
コンセント給電で済む製品を選べるか、既存の電源位置が近いか、コードをどこまで見えにくくできるかは、現実的な費用を左右する部分です。
幕板一体型の利点は、解体を避けやすい点にあります。
大きな懐を新設しなくても光源を隠せるため、クロス復旧費や下地工事を小さくできる可能性があります。
注意したいのは、既製部材の見え方。
取り付け位置、壁との取り合い、コードの逃がし方が粗いと、照明だけが後から貼り付いた印象になります。
費用を下げる手法だからこそ、正面から見える部材の厚み、影の出方、家具との高さ関係を確認しておくと失敗を避けやすいです。
壁ふかしで面を整える
テレビ背面に間接照明を入れたい場合は、壁全体を壊すのではなく、一部だけを手前に出す「壁ふかし」が選択肢に入ります。

一般的な目安は10万〜25万円程度で、テレビ面を5〜10cmほどふかし、その背面や側面にLEDを仕込む形になります。
この方法は、リビングの印象を変えたい人に向く方法です。
テレビ、コンセント、配線、アクセントクロスをまとめて整理できるため、単に照明を足すよりも壁面全体が整いやすくなります。
費用が上がる要因は、ふかし壁のサイズ、仕上げ材、コンセント増設、テレビ金具、既存配線の移動などです。
テレビまわりはHDMIケーブル、アンテナ線、電源コードが集まるため、照明配線だけを考えても成立しません。
見積もりでは、照明工事と造作工事が分かれているか、コンセント位置の変更が含まれているかを確認してください。
壁ふかしは、工事としては簡易造作に近いものの、マンションでは固定位置に注意してください。
コンクリート躯体や戸境壁へ直接アンカーを打つような施工は避け、管理規約と施工条件を確認する前提です。
見た目だけで判断せず、どの壁に何で固定するのかを業者に聞く。
この一言で、後からのトラブルをかなり減らせるはずです。
家具上と窓まわりを使う
最も費用を抑えやすいものとして、既存の家具上部やカーテンボックスまわりを使う方法があります。
目安は数千円〜3万円程度で、コンセント給電式のLEDテープライトやライン照明を、背の高い家具の上、カーテンレール上部、クローゼット上などに置いて、天井や壁へ光を返します。
大きな工事をしないため、解体費、クロス復旧費、下地補強費が発生しにくいのが利点。
いきなり本格リフォームに進む前に、光の位置や明るさの方向性を試す用途にも向いています。
家具上部を使う場合は、光源が直接見えない高さと奥行きを確保できるかが判断基準になります。
低い家具に置くとLEDの粒やコードが見えやすく、雑然とした印象になりがちです。
カーテンボックスを使う場合は、レールや布に熱がこもらないこと、コードを引っ掛けないこと、清掃しやすいことも確認したいところ。
コンセント式であっても、延長コードを無理に隠したり、家具で強く挟んだりするのは避けてください。
安価な方法ほど、固定・放熱・コード処理の安全性で仕上がりが左右されます。
賃貸で試すなら、原状回復できる範囲に限定し、粘着材やピンの跡が契約上問題にならないかも確認しておくと安心です。
造作風の後付けは、安く済ませるためだけの妥協ではありません。
既存住宅では、壁や天井を大きく壊さない方が、工期、費用、生活への影響を抑えられる場面も少なくありません。
住みながら工事する場合、解体を伴う施工は音、粉じん、養生、家具移動、クロス復旧まで関係してきます。
数日単位で生活動線が変わることもあるため、完成後の見た目だけでなく、工事中の負担も判断材料に入れてください。
幕板一体型や家具上の照明なら、条件が合えば短時間で設置しやすく、後から位置を調整できる余地も残ります。
最初から天井や壁を開けるのではなく、可逆的な方法で光の位置を試してから、本格リフォームへ進む判断も現実的です。
間接照明は、低い位置に置くのか、天井へ返すのか、壁をなでるように当てるのかで印象が変わるものです。
図面だけで決めるより、仮置きで光の方向を確かめた方が納得しやすい場面もあります。
造作風の方法は、その試行の余地を残せる点にも価値がある選択になります。
費用を抑えたい場合でも、見える部分の処理には手を抜かないでください。
特にコード、電源アダプタ、LEDの粒、固定金具は、後付け感が出やすい部分。
家具上に置く方法なら、正面から光源が見えない奥行きがあるかを確認します。
カーテンボックスまわりに入れるなら、カーテンの開閉でコードを引っ掛けない位置へ逃がしてください。
幕板一体型を使うなら、壁や天井との取り合いに小さな隙間が出ないか、部材の端部が目立たないかを見てください。
安価な後付けは、施工そのものよりも納まりの判断で仕上がりが変わるものです。
「照明を置く」ではなく、「光源を見せずに光だけを面へ返す」と考えると、選ぶべき位置が絞られます。
費用を下げながら整えて見せるには、器具の価格よりも、隠す場所と配線の逃げ道を先に決めることが近道です。
造作風の手法を選ぶときは、将来の変更しやすさも含めて考える視点が必要です。
家具配置を変える予定がある部屋、子どもの成長で使い方が変わる部屋、賃貸から引っ越す可能性がある住まいでは、固定しすぎない方法が向いています。
反対に、テレビの位置や収納計画がほぼ固定されているなら、壁ふかしのように面ごと整える方法も検討しやすい選択です。
同じ10万円台でも、将来も使い続ける壁面にかける費用なのか、数年後に撤去する可能性がある場所にかける費用なのかで、納得感は変わります。
費用の安さだけで選ぶと、数年後に外すときの跡や再施工の手間が気になる場合があります。
造作風を選ぶ場面では、初期費用、撤去のしやすさ、配置変更のしやすさを同じテーブルに並べて考えると、後悔を減らしやすいです。
造作風で費用を抑えやすい方法
- 幕板一体型照明:2万〜6万円程度。天井際、壁際、廊下、寝室で検討しやすい方法
- 壁ふかし:10万〜25万円前後。テレビ背面やリビングのアクセント壁を面ごと整えたい場合
- 家具上・カーテンボックス活用:数千円〜3万円目安。収納上、窓まわり、クローゼット上で試しやすい方法
賃貸と分譲の制約
賃貸や分譲マンションで間接照明を後付けする場合、費用より先に確認すべきものは規約と原状回復です。

それは、建物のどこに固定してよいのか、原状回復が求められるのか、管理規約でどの工事が制限されているのかという条件です。
「付けられるか」は、照明器具の問題だけではありません。
躯体に穴を開けない
分譲マンションでは、室内に見えている壁や梁でも、すべてを自由に加工できるわけではありません。
コンクリートの梁、柱、隣室との境界壁である戸境壁などは、共用部分として扱われることが多く、穴あけやアンカー固定が制限されます。
照明の配線を通すために躯体へ穴を開ける、器具を固定するために直接ビスを打つといった施工は、管理規約上の問題だけでなく、建物の強度や防火区画にも関わる問題です。
発覚した場合、原状回復や損害に関するトラブルへ進むおそれもあります。
「室内だから専有部分」と単純に考えない方が安全です。
石膏ボードの間仕切り壁なのか、コンクリート躯体なのか、仕上げの奥に何があるのかを確認してから計画を進めます。
賃貸では、さらに慎重に判断してください。
退去時に元へ戻せない施工、クロスを大きく傷める固定、電気配線の変更は、契約上の問題になりやすいです。
マンションや賃貸での後付けは、施工できるかどうかを「見た目」ではなく「規約・契約・構造」で判断します。
管理会社、管理組合、有資格の施工者に事前確認を入れることが、結局は最も低コストな予防策です。
可逆的に固定する
躯体を傷つけずに間接照明を後付けしたい場合は、可逆的な固定方法を選びます。

代表的なのは、突っ張りポール式のDIY柱。
2×4材などを床と天井の間に立て、その柱側に照明器具やコードを固定する方法で、目安は5,000〜3万円程度です。
壁や躯体に直接穴を開けないため、賃貸や分譲でも検討しやすい方法に入ります。
とはいえ、天井材の強度、床材への圧力、転倒防止、照明器具の重量は確認してください。
軽い照明なら成立しても、重い器具や長いライン照明を無理に載せるのは避けたいところ。
住戸内の石膏ボード壁に使える極細ピン式の固定具も選択肢に入ります。
費用目安は1万7,000円程度からで、抜き跡が目立ちにくい製品もあります。
ただ、石膏ボード壁かどうかの確認が前提です。
戸境壁やコンクリート面にピンやビスを打とうとするのは、分譲でも賃貸でも避けるべき判断です。
可逆的な方法を選ぶ目的は、単に安くすることではありません。
退去時、売却時、模様替え時に戻せる余地を残しながら、光の位置を整えるための現実的な選択になります。
賃貸で特に注意したいのは、原状回復の判断が「小さな穴なら大丈夫」と単純に決まらない点です。
契約内容、管理会社の運用、壁紙の種類、退去時の状態によって扱いは変わります。
ピン跡が目立ちにくい固定具でも、同じ場所に複数使えば補修対象になるかもしれません。
粘着テープも、剥がすときにクロス表面を傷めたり、日焼け跡との差が出たりする場合があります。
照明器具そのものが軽くても、コードを引っ張ったときに落下する固定では安心できません。
賃貸で選びやすいのは、家具上に置く、突っ張り式の柱に固定する、既存コンセントから給電する、撤去後の跡が残りにくい方法です。
費用は抑えやすい一方、見た目を整えるにはコード処理の工夫が欠かせません。
管理会社へ確認するときは、「間接照明を付けたい」だけでなく、「壁に穴を開けない」「電気工事をしない」「退去時に撤去する」といった条件を具体的に伝えると話を進めやすいです。
分譲マンションでは、専有部分の内装リフォームであっても、工事申請が必要になるケースは珍しくありません。
管理規約や細則では、工事可能な曜日や時間帯、搬入経路、共用部の養生、近隣住戸への告知が定められている場合も少なくありません。
間接照明の後付けが小規模に見えても、壁を開ける、電気配線を触る、騒音が出る、職人が共用部を通るとなれば、申請対象です。
申請を省いて進めると、工事の中断ややり直しにつながるため注意してください。
費用面でも、マンションは戸建てより搬入・養生・作業時間の制約が出やすく、同じ工事内容でも手間が増えがちです。
特に高層階や共用廊下の養生が必要な物件では、照明そのもの以外の管理対応費が見積もりに含まれるか確認しておきたいところです。
分譲だから自由にできるのではなく、分譲だからこそ規約に沿って進める。
この順序を守る方が、結果的に費用も予定も乱れにくくなります。
戸建てでも、制約がまったくないわけではありません。
マンションほど管理規約の制限は受けにくいものの、既存の梁、断熱材、天井裏の配線、エアコン配管、火災報知設備との干渉は確認が必要になります。
天井際にきれいなラインを入れたい場合でも、天井裏に通線できる空間がない、下地の向きが合わない、点検口が遠いといった条件で手間が増えます。
戸建てなら何でも安くできると考えるより、既存状態を見てもらったうえで判断する方が確実です。
写真だけの概算は便利ですが、壁の中や天井裏の条件までは読み切れません。
現地確認では、希望位置、電源を取りたい場所、スイッチ操作の有無、クロス張替えの範囲をまとめて伝えると、追加費用の可能性を把握しやすくなります。
賃貸、分譲、戸建てのどれであっても、後付けの成否は「どこまで元の建物に触るか」で決まります。
◆Research Desk のワンポイント
賃貸や分譲で迷ったら、「どこに固定するか」「何を傷つけるか」「元に戻せるか」の3つで見てください。
おしゃれに見えるかより、この3点を先に押さえた方が失敗しにくいです。
見積もりの確認点
間接照明の後付け見積もりは、総額だけを見ると判断を誤りやすくなります。
大切なのは、安いか高いかよりも、どの工程が含まれ、どの工程が別途になっているかです。
見積書の項目を読むだけで、後から増えやすい費用はある程度見抜けます。
追加費用が出やすい項目
確認したい項目は、解体・処分費、下地補強費、電気配線費、専用回路費、クロス張替え費です。
この5つが曖昧な見積もりは、あとから増額が起きやすい傾向があります。
たとえば「照明設置一式」とだけ書かれている場合、既存天井を開ける費用、出た廃材を処分する費用、クロスを戻す費用が含まれているのか判断できません。
本格的な後付けなら、解体と復旧を避けられない場面が多いため、最初から項目として見える形にしてもらう方が安全です。
高所作業費にも注意してください。
吹き抜けや階段まわりなど、床から3mを超える場所では、脚立だけでなく足場や専用作業が必要になり、8,000〜2万円程度が追加されることがあります。
長いライン照明を入れる場合は、1mごとの部材費、アルミチャンネル、カバー、電源、コントローラー、調光器の有無も確認してください。
安く見える見積もりでも、必要な部材が別になっていれば最終額は上がります。
消費電力や明るさの見方は、間接照明のワット数と明るさの違いを先に押さえておくと、器具選びの比較がしやすくなります。
相見積もりを取るなら、同じ条件で比較してください。
片方は解体復旧込み、もう片方は器具設置のみでは、金額の比較になりません。
「既存壁の解体は含むか」「クロスはどこまで張り替えるか」「配線は露出か隠蔽か」「電源は既存利用か増設か」をそろえて聞く。
それだけで、見積もりの透明度はかなり変わるポイントです。
電気工事は資格者へ
壁内や天井内に配線を通す工事、電源直結、コンセントやスイッチの増設は、第二種電気工事士以上の有資格者が扱う領域に入ります。
無資格で配線を触ると、感電や漏電火災のリスクがあるだけでなく、法令違反にもなります。
「LEDだから安全」「低い電圧だから何でもできる」と考えるのは危険です。
施主が行える範囲は、一般的にはコンセントに差し込むタイプの器具を、説明書に従って設置するような軽微な範囲に限られます。
壁の中に電線を通す、既存スイッチから分岐する、電源を直結する、分電盤から専用回路を増やすといった内容は、専門業者に依頼してください。
専用回路が必要になる場合、目安として1万5,000〜4万円程度が加わることがあります。
ブレーカー容量に余裕がない、ほかの家電と同じ回路に負荷が集中する、調光機器を追加するなどの条件では、電気側の確認が欠かせません。
自治体の窓口や電気保安協会などで適法性を確認する選択もあります。
賃貸や分譲マンションでは、電気工事の可否だけでなく、契約や管理規約の確認も必要です。
原状回復の範囲、共用部分への加工禁止、工事申請の有無は物件ごとに違います。
費用を抑えるために確認を省くと、あとから戻す費用の方が大きくなることもあります。
照明は小さな設備に見えますが、建物と電気に触れる以上、自己判断で進めない方がいい領域です。
DIYで扱える範囲は分けて考える
- 施主側で検討しやすい範囲:コンセント式のLEDを説明書どおりに置く、家具上やカーテンボックスまわりで仮置きする
- 専門業者に任せる範囲:壁内配線、電源直結、スイッチやコンセントの増設、専用回路の追加
- 事前確認が必要な範囲:賃貸の原状回復、分譲マンションの管理規約、躯体や戸境壁への固定可否
よくある質問
間接照明の後付け費用は最低いくらから考えればよいですか?
A. コンセント式のLEDを家具上やカーテンボックスまわりに置く程度なら、数千円〜3万円程度がひとつの目安になります。
壁や天井を造作して隠蔽配線まで行う本格リフォームなら、1箇所10万〜30万円程度を見ておく方が現実的です。
同じ後付けでも、解体を伴うかどうかで金額帯が大きく変わる点を確認してください。
賃貸でも間接照明を後付けできますか?
A. 賃貸では、原状回復できる範囲に限って検討してください。
家具上に置く、突っ張り式の柱を使う、コンセント式の器具を使うといった可逆的な方法が中心になります。
壁内配線、穴あけ、スイッチ増設などは契約上の問題になりやすいため、管理会社への確認が必要です。
分譲マンションなら自由に工事できますか?
A. 分譲でも自由にできるとは限りません。
梁、柱、戸境壁などのコンクリート躯体は共用部分にあたることが多く、穴あけやアンカー固定は制限対象です。
室内側の仕上げに見えても、奥が躯体であれば加工できない場合があるため、管理規約と施工業者の確認を先に行ってください。
造作風にすると見た目は安っぽくなりますか?
A. 造作風でも、光源が直接見えず、コードが整理され、家具や壁のラインと合っていれば十分に整って見えます。
反対に、本格造作でも寸法や光源の隠し方が甘いと、仕上がりの密度は下がるものです。
費用だけでなく、どこから光が見えるか、どこに影が出るか、コードが視界に入るかを確認してください。
DIYで電気工事までしてもよいですか?
A. 壁内配線、電源直結、コンセント増設、スイッチ増設などは有資格者の領域です。
無資格で行うと法令違反になり、感電や漏電火災のリスクもあります。
施主自身で扱うなら、コンセント給電式の器具を説明書の範囲で取り付ける程度にとどめ、電気工事は有資格の専門業者へ依頼してください。
まとめ
間接照明の後付け費用は、照明器具の価格だけでは判断できません。
本格的に壁や天井へ組み込むなら、解体、下地補強、隠蔽配線、クロス張替えが加わり、1箇所10万〜30万円程度が目安になります。
新築時より高くなりやすいのは、完成した住まいを一度ほどいてから戻す工程が発生するため。
費用を抑えるなら、幕板一体型照明、テレビ面の壁ふかし、家具上やカーテンボックスの活用など、解体を避ける造作風の方法を先に検討すると現実的です。
賃貸や分譲マンションでは、躯体への穴あけを避け、原状回復できる可逆的な方法を選ぶのが基本になります。
覚えておきたい命題はひとつです。
後付け費用は「造る」より「壊して直す」で決まり、解体を避ければ大きく下げられる。
次に動くなら、本格後付けか造作風かを先に決めて、見積もりで解体・復旧費、配線費、クロス費が含まれているかを確認してください。
